diary

映画と本

cinema

『溺れるナイフ』(2016年)山戸結希

『溺れるナイフ』山戸結希 2016年、小松奈菜は二度、菅田将暉と共演している。『ディストラクション・ベイビーズ』と『溺れるナイフ』である。共に今年劇場公開され、真利子哲也と山戸結希、両者とも注目しておかなければならない監督であることは、殊更に言…

『疾風ロンド』『少女』『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016年)

『疾風ロンド』(2016年)吉田照幸 阿部寛は不思議な役者だ。イケメンなのか、そうじゃないのか扱いがよく分からない。メンズノンノのモデルとして活動していたのだから、千葉雄大や坂口健太郎といった今や王道の出世コースといって誰も疑いはしないであろう…

『コンボイ』(1978年)サム・ペキンパー監督/『トランザム7000』(1977年)ハル・ニーダム監督

『コンボイ』(1978年)サム・ペキンパー監督 まずは...という感じで、初サム・ペキンパーでございます。西部劇であまりにも有名な作品が多々ありますが、今作は通称トラッカー(トラックの運転手)たちが走る、走る、走り続けます。トラックの走路となる一…

『アイアムアヒーロー』(2015年)佐藤信介監督/『僕だけがいない街』(2016年)平川雄一朗監督

『アイアムアヒーロー』(2015年)佐藤信介監督 映画秘宝を熱心に読んでいなくても、無類に楽しめる映画である。いわゆるゾンビ映画と括られる『アイアムアヒーロー』を、より楽しむためのサブテキスト=ゾンビ映画本は巷に数十冊はでていると思うが、僕は一…

『スポットライト』(2015年)トーマス・マッカーシー監督

『スポットライト 世紀のスクープ』(2015年)トーマス・マッカーシー監督

『オデッセイ』(2015年)リドリー・スコット監督

『オデッセイ』(2015年)リドリー・スコット監督 火星に取り残された男が「いかにして生還するのか」よりも、仲間の「助けを待つあいだ、どうやって生き延びるか」という、「火星サヴァイヴァル・延命ガイド」的な映画である。「いかにして生還するのか」を…

『シックス・センス』(1999年)/『アンブレイカブル』(2000年)M・ナイト・シャマラン監督

観客の「終わりよければ全て良し」という見方に懸命に応えているようで、実はそのような偏狭な見方をする人々を黙々と炙り出す作業をしているようにもみえるシャマラン監督。この二作に最後が「ありえない」「退屈だ」といった文句をつけることは、誰にだっ…

『パレードへようこそ』(2014年)マシュー・ウォーチャス監督

『パレードへようこそ』(2014年)マシュー・ウォーチャス監督 一人の青年がある団体(=連帯)に些細なキッカケを機に巻き込まれ、共感し、団結する。その一連のながれをみて、あるいは即席クラブと化した多目的ホールのような建物でダンスに興じる人間たち…

『マッド・ガンズ』(2014年)ジェイク・パルトロー監督

『マッド・ガンズ』(2014年)ジェイク・パルトロー監督 荒野を舞台にした、水をめぐる闘い。『マッドマックス』にあやかったタイトルがつけられているのは笑いを誘おうとしているのか...。そんな、安易に名づけたくなるほどの無邪気さを察せるのは、近未来S…

『ユーズド・カー』(1980年)/『キャスト・アウェイ』(2000年)ロバート・ゼメキス監督

とくに観る予定はないが、きたる新作『ザ・ウォーク』(1月公開)にむけてロバート・ゼメキス監督の過去作を観てみる。2016年に公開される作品を2016年に観る義務をひしひしと感じながら、なにか高まるものがあれば...という試み。『バック・トゥ・ザ・フュ…

『パロアルト・ストーリー』(2013年)ジア・コッポラ監督

『パロアルト・ストーリー』(2013年)ジア・コッポラ監督 「繊細な感情を」とか、「若者のリアリティーを」とか、青春映画の宣伝文句で何十年も繰り返し用いられているテンプレがありますが、他にないんですかね。果たして、その「リアル」とやらは誰が決め…

『ストロンボリ』(1949年)/『イタリア旅行』(1953年)ロベルト・ロッセリーニ監督

「男と女と一台の車とカメラがあれば映画ができる」 ー ジャン=リュック・ゴダール この有名な言葉に誘われるまま『イタリア旅行』を観て、ロベルト・ロッセリーニの名前、あるいは彼らが生きた時代のイタリア映画、潮流を知った多くの映画ファンのうちの一…

『... of the(Living)Dead』トリロジー(原題)ジョージ・A・ロメロ監督

ジョージ・A・ロメロ監督によるゾンビ映画三部作。後に三作全て他監督によってリメイクされていて紛らわしいので、レンタル、購入の際は気をつけて。どうも「中学生男子が好きな監督」(あるいは、「映画秘宝読者」)臭を拭いきれないジョージ・A・ロメロ監…

『死霊のはらわた』(1981年)/『死霊のはらわた Ⅱ』(1987年)サム・ライミ監督

『Dissolve』のランキングでは『Ⅱ』が4位で、『Ⅰ』はランク外ということになっている。観たところ、ほぼストーリーに変化はなく、クリチャー造形や編集技術の進歩によって、リメイクされたと言う方が正しい『Ⅱ』が上位というのも納得できる。シリーズ化が当…

『悪魔のいけにえ』(1974年)/『ポルターガイスト』(1982年)トビー・フーパー監督

『アメリカン・スリープオーバー』(2010年)のデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督による、来たる新作『イット・フォローズ』(2014年)の公開に先駆けて、ホラー映画の古典でも観ようかと、海外映画批評サイトDissolveのリスト「2010年〜2014年ベスト映…

『ミスター・ロンリー』(2007年)/『スプリング・ブレイカーズ』(2012年)ハーモニー・コリン監督

*** 『ミスター・ロンリー』(2007年)ハーモニー・コリン監督 *** 『スプリング・ブレイカーズ』(2012年)ハーモニー・コリン監督 今現在、居る場所に満足など到底出来るはずもなく、日々「ここではないどこか」に想いを馳せる10代の娘たちが、春休…

The best films of 2015(2/2)

正直、ここ最近映画を観始めたのが2014年12月に『ゴーン・ガール』(2014年)、『インターステラー』(2014年)、『ショート・ターム』(2013年) に遭遇したこと、2015年1月に川越スカラ座で『フランシス・ハ』(2012年)を観たことに端を発しているため、2…

The best films of 2015(1/2)

年間ベストと銘打っているものの、製作本国の公開年と日本公開年のタイムラグが数年あるのは当たり前であったり、動画配信サービスの台頭で、配信スルーやDVDスルーになった映画の数も多いだろう。小規模でやっている上映会で密かに未公開作が封切られていた…

『女っ気なし』(2011年)/『やさしい人』(2013年)ギヨーム・ブラック監督

ギヨーム・ブラックの名をどこで知ったかを今は覚えていないが、DVDが出ていない作品の上映会を逃す手はないので、学生主催の上映会に行ってきた。この機会でギヨーム・ブラック監督に出会ったのか、二本の主役であるヴァンサン・マケーニュに出会ったのか、…

『殺しの分け前/ポイント・ブランク』(1967年)/『脱出』(1972年)ジョン・ブアマン監督

『殺しの分け前/ポイント・ブランク』(1967年)は「復讐(リベンジ)映画」に、『脱出』(1972年)は「田舎に行ったら、そこがヤバかった映画」(主に海外の映画サイトを参考にしているので、曖昧だけど、そんな感じ。)などのリストに、よく入っている。前…

『マラノーチェ』(1985年)/『ドラッグストア・カウボーイ』(1989年)/『マイ・プライベート・アイダホ』(1991年)ガス・ヴァン・サント監督

ファッション誌『Them magazine』の読者や、『Huge』を愛読していた古着好き、ファッション好きの男なら誰しも、ガス・ヴァン・サントの名を知っているだろう。写真集『108 Portraits』などはプレミアがついているし、30〜40代の編集者に好かれているんだろ…

『ローズマリーの赤ちゃん』(1968年)/『テナント/恐怖を借りた男』(1976年)ロマン・ポランスキー監督

今年『インヒアレント・ヴァイス』(2014年)を二回劇場で観た。公開に合わせて、ユリイカはポール・トーマス・アンダーソンの特集号が発売した。とりわけその中で、言及されていた参考となる(探偵)映画に『ロング・グッドバイ』(1973年)や、『三つ数え…

『悪魔のシスター』(1973年)/『愛のメモリー』(1976年)ブライアン・デ・パルマ監督

DVDで観られるブライアン・デ・パルマ監督の作品の中で最も初期にあたる70年代の二本。どちらも、田舎のTSUTAYAには置いてないと思われるため、買わないと観れません...。ゆえに期待値が無意識に上がってしまうのは避けられない事実です。この期待を持つ/持…

『キャリー』(1976年)/『フューリー』(1978年)ブライアン・デ・パルマ監督

60年代から、未だ現役で映画を撮り続けている監督は数少ないが、ブライアン・デ・パルマはその一人だ。タランティーノが『ミッドナイトクロス』(1981年)と『キャリー』(1976年)を何度かオールタイムベストに挙げていることを小耳にはさむ程度に認知して…

『クレイジー・ママ』(1975年)/『怒りの山河』(1976年)ジョナサン・デミ監督

先日、観たばかりの『デス・レース2000年』(1975年)を機にロジャー・コーマンの名を知ったので、彼について、ぼくはあまり知らない。ただ、監督作や製作に携わったフィルモグラフィを眺めていると、かなり彼の特徴が分かってくる。DVDのパッケージデザイン…

『プリティ・イン・ピンク』(1986年)/『恋しくて』(1987年)脚本 ジョン・ヒューズ

今年日本で公開された『ピッチ・パーフェクト』は劇中に、ジョン・ヒューズ監督作『ブレックファスト・クラブ』(1985年)を男が女に観せるシーンがあり、その作品の内容を知ることが一つ『ピッチ・パーフェクト』をより楽しむフックになっていました。邦画…

『サムシング・ワイルド』(1986年)/『愛されちゃって、マフィア』(1988年)ジョナサン・デミ監督

ジョナサン・デミの名前は知らずとも、『羊たちの沈黙』を知る人は大勢いるだろう。個人的なベスト映画に挙げる人も多数、ぼくの周りにもいるし、多分検索をすれば「映画の入門編」的なまとめリストに我が物顔で居座っているだろうし、90年代を総括するうえ…

『愛して飲んで歌って』(2014年)アラン・レネ監督

3組の夫婦はジョルジュという一人の男に惑わされる。どうやらジョルジュは、もって半年ほどの病気らしい。皆がジョルジュを心配し、ジョルジュの名をあげては彼について話すし、ジョルジュをめぐって右往左往し続ける。しかし、肝心要のジョルジュという男は…

『風にそよぐ草』(2009年)アラン・レネ監督

お気に入りの靴屋で、お気に入りの店員に選んでもらった靴を買うことに楽しみを見出す(40〜50代ほどの)女性をカメラは追う(ただの買い物のシーンなのにも関わらず、中々顔を映さないので、不隠な雰囲気すら漂わせている。)。人間は歳をとると、「安定の…

『海街diary』(2015年)是枝裕和監督

海辺をじゃれ合いながら、散歩する四姉妹をみて、「ああ、この時間が永遠に続いてほしい...」と願わずにはいられない瞬間がある。そこに、この映画では一度も登場することのない、不在の父親はもちろん、母親も、あるいは親戚や義理の親なども存在せず、いる…

『クリーン』(2004年)オリヴィエ・アサイヤス監督

主演マギー・チャンはいくつもの壁 ーー夫の死に取り乱すが部屋と外を区切るドア、刑務所の面談室で二人を遮るガラス、に直面する。これらは文字通りの壁になるのだが、カメラは意図してレンズと被写体(マギー・チャン)のあいだに障害物を介在させる。それ…

『キッズ・リターン』(1996年)北野武監督

編集におけるジャンプカットが、たとえば「AがBに電話をかける」→「AとBがカフェで談話している」このようなカットの繋ぎは定番中の定番である。なにも、服を着替え、歯を磨き、車をまわし、ドアを開けるという動作のカットが差し込まれなくても、瞬時に「電…

『ぐるりのこと。』(2009年)橋口亮輔監督

シンクに白米をばら撒き、部屋のソファでうろたえる女(木村多江)が白米を炊けるようになるには、どうしたらよいだろうか?無論、電気代を払い、有能な炊飯器をこしらえるという話ではない。テーブルの上に置かれた雑炊を食べるとき、その雑炊をより美味し…

『冷たい水』(1994年)オリヴィエ・アサイヤス監督

青春時代に聴いた音楽はノスタルジーを強烈に刺激するし、いまだに同じ音楽を聴いている、好みがそこで止まってる、など、多種多様なこじらせ方があると思う。映画でも青春映画と分別されるカテゴリーにおいて、音楽は非常に重要な役割を担っている。主に当…

『ハッシュ!』(2001年)橋口亮輔監督

両親の離婚もあって、幼少期から父親という存在に確信めいたイメージが持てない、あるいは自分が家族をもてるなんて考えもせずに過ごしてきたゲイの男性カップル(田辺誠一と高橋和也)は、二度の中絶を経験したが、なおも子供が欲しいと望む女性(片岡礼子…

『レディ・アサシン』(2007年)オリヴィエ・アサイヤス監督

女(アーシア・アルジェント)と元彼(マイケル・カドセン)が話している。二人はかつて不倫関係にあり、今は別れているが元彼は妻と離婚したらしく、久しぶりに連絡をとり、再会したようだ。元彼はやたらと「お前はおれの所有物だった」だの、奴隷プレイを…

『デーモンラヴァー』(2002年)オリヴィエ・アサイヤス監督

普段アニメを見ないせいか、少なくとも過激であったポルノ的なアニメの映像を見て、ある種の気持ち悪さを感じた。気持ち悪いといったら、乱暴か。存在は知っているけれど、快感に感じられることはないので、敬遠していた映像をまざまざと見せつけられた衝撃…

『幕が上がる』(2015年)本広克行監督

演劇部と、ももいろクローバーZの活動を照らし合わせることができるのが、この映画の特権的な楽しみ方だ。ファンの誇大妄想ではなく、それを狙った仕掛けが多々ある。例えば、高橋さおりが(百田夏菜子が)部長に(リーダーに)なるときの自覚のなさからはじ…

『夏時間の庭』(2008年)オリヴィエ・アサイヤス監督

あるキッカケーー葬式や長期休暇、どの口実でもいいのだが、それぞれ自立した息子、娘、場合によっては三世代に渡る家族が実家に集うシチュエーションを用いる映画を思い浮かべれば是枝監督の作品が想起される。もうそれだけで、良質な映画であることを予感…