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diary

映画と本

『殺しの分け前/ポイント・ブランク』(1967年)/『脱出』(1972年)ジョン・ブアマン監督

cinema

『殺しの分け前/ポイント・ブランク』(1967年)は「復讐(リベンジ)映画」に、『脱出』(1972年)は「田舎に行ったら、そこがヤバかった映画」(主に海外の映画サイトを参考にしているので、曖昧だけど、そんな感じ。)などのリストに、よく入っている。前者は『キル・ビル』(2003年)などと、並べられランクインしているので、一際目を惹かれていた。TSUTAYAの発掘良品にあるので、是非。

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『殺しの分け前/ポイント・ブランク』(1967年)ジョン・ブアマン監督

 開巻数秒足らずで、銃声が鳴る。どうやら、主人公の男(リー・マーヴィン)が撃たれたようだ。倒れこんだ男は数分前におこなった、旧アルカトラズ刑務所での現金取引の強奪を回想する。計画は上手くいったが、仲間が強奪した金を独り占め&妻も奪いとられる、まさかの裏切り行為。そして、再度倒れこんだ男をカメラは映す。ものの数分で、撃たれた男(現在)→現金強奪(過去)→仲間の裏切り(過去)→撃たれた男(現在)を素早いカットの連続で、「突然の発砲の意味」「これから復讐を行う動機」を観客に提示する。そうして、タイトルが立ち上がり、オープニングが完成される。ここまでだけで、頭がついていかないほどの速度で展開されるが、男は単純明快に「ちゃんと、金払え。」という、一貫した態度で行動する。とにかく、それだけだ。復讐の対象が(妻と)いるであろう家を見つけて、入った際にはドアを開けた瞬間に銃を乱射するのが、無茶苦茶すぎる。また、助手席に乗せた男の口を割らすために、乱暴な運転をするが、『デス・プルーフ』(2007年)の改造車でもないのに、運転席の主人公は無傷でいるのも無茶苦茶だ。とかく、相手の居場所に侵入するシーンが数度あるが、コミカルな演出がなされている。それでいて、黒幕の居場所を聞くために銃を突きつけ、また次の場所へと展開されていくのが、「真相へと中々たどり着かないもどかしさ」によって、緊張感やミステリーぽさを醸し出している、というよりは、「冷静に、淡々と(敵は殴られらすぐ倒れる)、遂行されるのに、ボスは結局違うやつ」なのが、ただ面白い。めちゃくちゃ振り回される『ノーカントリー』(2007年)の殺し屋といった感じだ。

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『脱出』(1972年)ジョン・ブアマン監督

 冷やかしで、心霊スポットに行ったら呪われてしまった、なんて多分そこいらの(本当にあった...的な類の)ホラー映画で使い古されすぎた題材だと思います。というか、現実でも「冷やかしでいったら本当に幽霊でちゃうよ〜」みたいなノリで友達とスポットに繰り出す人も多いだろう。そこで多少とも、話のネタとなるハプニングが起きさえすれば、その試みは成功となる。「まさかの出来事」が起きれば儲け物なノリなわけだが、『脱出』は「まさかの出来事」を全く期待などしていない。自ら、「起こるかもしれない危険に、浅はかな好奇心で突っ込む」こともない。朗らかな日常の延長線上にある、休日のレジャーを友達と過ごす、ただそれだけなのだ。友人4人とカヌーでラインくだりをする、良き休日が、とんだサバイバルになる。常に河の両岸にある、生い茂った森林の隙間から敵の銃弾が飛び交う危険性を孕み、逃げながら戦う男4人の心理的な揺さぶりが展開される。この、ある種の攻防戦に、アーチェリーが武器として持ち込まれる。まだぼくは『怒りの山河』(1976年)『グエムル/江漢の怪物』(2006年)でしか、目撃したことがないのだが、アーチェリー映画に外れはない説が密かに浮上している(『ハンガー・ゲーム』観ようかな...)。だいたい、人生に起きる、辛いとか、傷ついたとか、ネガティブな体験でも数十年後には大抵笑い話になるけれど、『脱出』はそうではないだろう。アクション映画としてのカタルシスだけを与えたいならば、「ボロボロになりながらも、なんとか助けがきそうだ」というところで幕を引けばいいのだろうが、映画はその後の男たちの関係性まで追っていく。いささか助長にも感じられるが、このシーンがあることで、「この人たち、この先、会うことないだろうな」と、傷の深さを感じさせている。

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