読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

diary

映画と本

『悪魔のいけにえ』(1974年)/『ポルターガイスト』(1982年)トビー・フーパー監督

『アメリカン・スリープオーバー』(2010年)のデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督による、来たる新作『イット・フォローズ』(2014年)の公開に先駆けて、ホラー映画の古典でも観ようかと、海外映画批評サイトDissolveのリスト「2010年〜2014年ベスト映画50本」を、とりあえずの指標として、近年の作品をチェックしていた筆者としては、同サイトで発表されている、もう一つのリスト → → →

を無視するわけにはいかないのです。早速、アクセスしてみると、30本のリストの中に00年代では2本、10年代では3本、その中で『イット・フォローズ』もランクインしている。そんな縁(?)もあって、このリストの中から、これからいくつか観ていきたい。堂々、1位に君臨している『悪魔のいけにえ』(1974年)は最近、公開40周年を記念して再発されているし、名画座でひっかかってもいる、ホラー映画の定番の作品であることが窺える。そんな基本情報は映画秘宝のムック本でも読んでおけば、痒いところまで手の届く情報を得られるでしょうね。ともあれ、映画秘宝系と安易に分別されてしまう、ホラー映画への興味心は中々高まらない。おまけに、「ホラー映画=中学生のお泊まり会で暇つぶしに観るやつ」と、ぼんやり思っている節もあるため、敬遠していたのも事実。どれだけ、「目を覆いたくなるような惨劇」「心臓がひっくり返る驚き」を演出でみせるか、そんなの子供だましにすぎないと揶揄することの安易さに少なからぬ既視感を覚える人や、『ソウ』パラノーマル・アクティビティ』を夢中で観ていた人が抱くホラー映画の見方を変えるような作品が、このリストには含まれていれば、この上ない幸福である。

***

f:id:takemo1025:20151229210637j:plain

悪魔のいけにえ』(1974年)トビー・フーパー監督

 男女五人組が映画のおいて、どれだけ有効なのだろう。五角形の関係性を結んだり、離したり、独立させたり、強制的に離脱させたり...。もしかすると、そのような人物たちの関係を描くことを、90分〜120分の尺でおさめるには五人組が丁度良いのかもしれない、という方法論がぼんやりと浮上してくるほどに、あるジャンルの古典ならびに、それ以後の映画にも多い。(『ブレック・ファスト・クラブ』(1985年)然り。)もしくは、単純に5人もいれば、観客は感情移入できるような立ち位置の登場人物を発見できるだろうという憶測なのかもしれないが。

だからこそ、その五人組に入り込んでくる他者は「弾かれるべき者」であり、「招かれざる客」であるのだ。五人組を乗せた車に、ヒッチハイクをしている男が乗り込んでくるが、彼は終始不気味である。なぜ、そうであるのかはハッキリしないまま、「とにかく、狂ってるやつ」であり続ける。彼に限らず、彼の家族は皆そうである。我々の理解を超えた不気味なやつらは、五人組を一人一人、ひたすらに追う。「世の中には、そんなやつもいる」では、到底諦めのつきようがない、不条理さだ。

襲ってくる側の狂気による恐怖は当たり前のことながら、やはり女の薄着は不気味だ。とくに、一人目の男が唐突にレザーフェイスと出会った後、連れの女がブランコから腰をあげるとき、カメラは女の後ろ姿をローアングルで追う。パンイチ同然の女の露わになった肉体(皮膚)は、何かが(チェーンソーですけど)彼女に接触したとき、すぐさま血が観客の目に飛び込んでくるであろうことを危惧させるし、なによりもこの先に起こる恐怖に対し、身ぐるみ一つも防御していない、無防備さに不安を駆り立てられる。だから、夏といえばホラー、という観念があるのか?薄着にさせるために...。

さて、「田舎に行ったら、最悪だった」系の作品が何故、恐怖を助長するのかは、そのアクセスの不便利さ、閉じ込められたような狭いコミュニティー、周辺の情報をもたないことの身動きのできなさ、であったり、様々あると思うが、それらが一言に組み合わさり「見知らぬ土地で、見知らぬ誰かに、追いかけられる」と、言うこともできる。そして一歩そこから出れば、もちろん「いつもの場所、いつもの友達」がいる世界があるわけで、そのいつもの世界へ帰還する(生き残るための)方法が通りすがりのトラック、車に乗り込むことだった。追いかけられる渦中にいる際は、あたかもそれだけが世界であるかのような閉鎖感を帯びているので、女が車の荷台に乗った途端に、ゲームが終わったような解放感に包まれる。

***

f:id:takemo1025:20160122214423j:plain

ポルターガイスト』(1982年)トビー・フーパー監督

なんとも映画的快楽に満ちていて、親が子を想う屈強な愛というザ・アメリカ映画なプロット、観たいものを観せてくれるショットの連続は娯楽性たんまりだ。スピルバーグ作品(今作は製作)をいつしか意識的に観てみようと思いつつも、実は観た作品がスピルバーグだったりすることが後から分かるなど、人それは観た映画をスピルバーグだと認識しないまま、スピルバーグに育てられているのだなと思う。これはイーストウッドなども同様に思うことである。

***

悪魔のいけにえ 公開40周年記念版 [Blu-ray]
 

 

ポルターガイスト [Blu-ray]

ポルターガイスト [Blu-ray]

 

 ***