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diary

映画と本

『ユーズド・カー』(1980年)/『キャスト・アウェイ』(2000年)ロバート・ゼメキス監督

とくに観る予定はないが、きたる新作『ザ・ウォーク』(1月公開)にむけてロバート・ゼメキス監督の過去作を観てみる。2016年に公開される作品を2016年に観る義務をひしひしと感じながら、なにか高まるものがあれば...という試み。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』であまりにも有名なので、それ以外の作品が気になっていた人も多いのでは。

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f:id:takemo1025:20160115175950p:plain『ユーズド・カー』(1980年)ロバート・ゼメキス監督

 『デス・プルーフ』(2007年/クエンティン・タランティーノ監督)の印象が強大なカート・ラッセル×中古車、まさかタランティーノはこれを...と陽気に思いながら観ました。運転席にカート・ラッセルは座ってないものの、助手席のオジさんを破天荒な運転技で殺すシーンが催された際にはさすがに驚いた。ちなみにカート・ラッセルはそのオジさんの部下だから被害者(ではあるが、この映画にとって、誰かが死ぬことはネタにすぎない)。よって、 『デス・プルーフ』は彼が過去の事件(この映画)を発端に気が狂ったと説明できてしまう。いかにも『マッドマックス』的な繋がりではあるのだが、まさしく中古車250台がある地点へと群れをなして向かい、(タイムリミットつきのため)全速力でアクセルを踏む絵面は『怒りのデス・ロード』さながらの荒唐無稽な世界である。とまあ、かなり乱暴な言い方だが、アメリカン・コメディー然としたチープなアイディア、「このショット撮りたかったんだよね」と少年時代から構想していたようなショットの連続は、観る側の発想も無邪気にさせる楽しさだ。政治絡みの不条理を背に「主人公たちが立ち向かう」のは見飽きているはずなのに、何度観ても楽しめてしまう。

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キャスト・アウェイ』(2000年)ロバート・ゼメキス監督

 2000年当時(7歳)の記憶(空気)を振り返ることを、筆者にはそう簡単にできないが、今現在の時間に追われるような生き急ぐ感覚、たとえば「休むな働け!」「効率的な時間の使い方をしろ!」的なスローガンとか、スローライフという言葉がメディアで飛び交う一方で、現実はスローライフなんて夢のまた夢で、いつかスローライフを送ってやるという理想を掲げることで、なんとかめまぐるしい日々をやる抜く、そんな感覚が支配していないだろうか。まさしく、その生活を象徴するような、効率化をきわめた仕事ーーどこよりも早く荷物を届ける宅急便会社ーーに就く主人公の男は飛行機の不時着により、ある日突然に、たった一人で無人島生活を強いられる。そこからの脱出作業の際に生じる、漂着以前/以後の出来事の伏線回収などを一つ一つあげるまでもなく、秀逸であると言い終えておきたい。いちいち拾い上げて、資本主義批判だとか(むしろそのゴミを活用している)、効率化をきわめた現代社会の虚しさだとかを指摘するのは野暮すぎる。無人島で男が発する言葉は「アー」とか「ウォー」にすぎず、時折独白をしてみせたりもするが、あるときから男は饒舌になる。偶然、運悪く、(これらの言葉は痛切だ)無人島に漂着した男はいるはずもない仲間をつくり、連帯をつくりあげてしまったのだ。なにもないはずなのに、男は海の上で二度別れを経験する。そして、たんなる作業ではなく、荷物を届けることであったり、男の脱出を決心させる邁進力、希望、変化を与えることなったのはコミュニケーションであったのだ。

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