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diary

映画と本

非映画誌の映画特集

雑誌市場のなかでカルチャー紙が占める割合がどれくらいのものか分からないが、めっきり映画特集と名打った雑誌を見なくなったように思う。他方で映画専門誌が増えたといったら大嘘になり、現行で発売している映画誌なんて両手両足で事足りるほどの数だろう。そもそも月刊というスパンが今となってはせわしないというか、値段倍でいいから隔月刊(あるいは季刊)の方が収納的にも、追いかけるペースを考えても丁度良い気もするのだが...。とはいえ、新作公開の初週、週末の動員は大事だし(特に前週の動員によってスケジュールが決まるシネコンなど)、毎月毎週新作が公開される映画に限っては情報の新鮮さが大事なのかなとも思ったり。なので...なのでと言ったら変かもしれませんが、ウェブで新作の短評をコンスタントにあげつつ、誌面では特集をつくっている『NOBODY』(季刊)がぼくには丁度良く、素晴らしい文章が読める雑誌だと思います。

最新号は特集:濱口竜介『ハッピーアワー』ですが、確か『映画芸術』誌でも特集されていました。さらには昨年末出版された監督著の単行本を携えれば、5月末に池袋新文芸坐で上映される『ハッピーアワー』を観に行く抜け目ないプランが完成です。東京住まいはマストでは。

 

というプレゼンはさておいて、本題の『非映画誌の映画特集』本の紹介です。率直に言えば、月刊誌『ユリイカ』が年に2〜3冊出している、同時代の作家特集(たまに増刊などで追悼特集も出しています。)と、マガジンハウスの系列誌がパッと思い浮かぶ限りほとんどなんですが、なのでそこは外して、かつ古本屋で見つけた雑誌だけ紹介します。

『ケトル vol.11 2013年 2月号』特集:50本の洋画に学ぶビジネスと恋愛

『ケトル』という雑誌の自体が非常に雑誌っぽい感じです。雑誌あるあるというか、一つの見方として、「雑誌の一番面白いページって最後の方のコラムじゃね?」なんていう、真実なのかどうなのか、でも一理あるようなないような、そんな読者の疑念(?)、矜持(?)を速攻解消、応答してくれるかのように、最後の方にコラムの千本ノックがあります。絶対どれかは単行本化されそう、したい、させたい、そんな気がします。映画特集の中身はカタログです。作品は概ね、さすがに田舎のレンタルビデオ屋にも取り扱いはあるだろうと疑いようもないロングセラー作品が揃っています。もちろん視点は特集題目である、ビジネスと恋愛というフィルターがかかっています。このような視点が多様であればあるほど良いですね。

 

『真夜中 No.13 2011 Early Summer』特集:映画が生まれるとき

表紙をみて勘の良い人は気づくでしょうが、開けて確信、アートディレクター・服部一成氏が携わっている季刊誌です。論考、対談、ルポが主です。なかでも、『言えたらいいね。”人生”篇 ー映画のセリフ、監督の言葉』という項目が良いです。劇中の登場人物のセリフを抜き取って掲載しているのですが、普段なら前後の脈略を取っ払って、言葉だけ引っ張り出しても、たとえその映画を観ていたとしてもちょっと違うと思ってページを飛ばしてしまいがちなんですが、同ページに各寄稿者による「監督の言葉」を軸にした文章を読むために、言い方は悪いかもしれませんが摘んで「映画のセリフ」を読めるように構成されているので、それが上手いです。ぼくが普段読んでいないだけで、『真夜中』は文芸誌のような体裁であるために「言葉」に反応するかたのほうが多いのだなと。

 

CREA 2016年1月号』特集:冬にしたいふだんのこと、と映画。

ミセスの雑誌ですが、ここ数年リニューアルして、特集も良いんですが、思わず手にとってしまう表紙も良いので、よく立ち読みする雑誌です。文藝春秋社発刊ということで(?)本の特集も多い雑誌です。さて、内容はカタログかと思いきや、寄稿者7人が計100本を選び、いつものページ(『CREA』はファッション誌ですから服、食、インテリアなどのページ)のあいだあいだに映画のページが挟まれています。なので連続して映画特集がされているわけではなく、目次を開きいきなりそこだけをみようとしなければ自然と数百ページを捲らせるような構成になっています。これは当たり前といったらそれまでですが、上手いです。ってことはどうでもよく!注目すべきはその寄稿者7人の1人が橋本愛さんだということです。中学生のとき『歌スタ!!』に出演していた臼田あさ美さんを観る目で橋本愛さんの文章を読むことをお勧めです。(ちなみに『POPEYE 818 JUNE 2015』でも橋本愛さんの文章を読めます。)

 

最後に買って読んでないけど、古本屋で探している本です。

このくらいでしょうか。もっと年代を遡ればあるはずですが、現に『批評空間 ゴダールの映画史』や『Coyote No.50 カサヴェテスへの旅』なども手元にありますが、主に10年代に発刊され、作家特集ではなく(広く浅い)映画全般の特集をされている雑誌を選びました。そもそも雑誌といってもムック、書籍というかたちで発売されいる本もありますが、その辺はとりあえずほぼ定期刊行誌ってことでご承知ください。