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diary

映画と本

『コンボイ』(1978年)サム・ペキンパー監督/『トランザム7000』(1977年)ハル・ニーダム監督

cinema

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コンボイ』(1978年)サム・ペキンパー監督

まずは...という感じで、初サム・ペキンパーでございます。西部劇であまりにも有名な作品が多々ありますが、今作は通称トラッカー(トラックの運転手)たちが走る、走る、走り続けます。トラックの走路となる一本道にゆらゆらと蜃気楼が踊り、一本道の外縁に白い雪景色が広がっているんですが、なぜか同時に映されるトラックの運転手の男はタンクトップという出で立ち。あれは雪じゃないのか?と思った途端、緑地が現れ、さながら茹だるような暑さを感じさせる蜃気楼と共に、女と、『北国の帝王』の怒れるオッさん保安官アーネスト・ボーグナインが遅れて登場。トラックを追い越したオープンカーに乗る女と、トラックの運転手が、この映画の主演二人なのですが、やはりというべきか、トラックを追い越す瞬間はサスペンスフルなのです。『激突!』から『テルマ&ルイーズ』に至るまで、追い越したら何の因縁か、腹いせなのか、再度追い越して、終いには車体をぶつけてくるような映画的トラウマが脳裏にあるもんですから、この二人の出会いのシーンには少々ハラハラさせられますが、無事お互い好印象のまま酒場で合流します。

傲慢な態度丸出しのアーネスト・ボーグナインには未だかつて発露したことがないような殺意を禁じ得ません。なぜなら、保安官という立場でスピード違反を見逃す代わりに違反者に金を貰っているのだが(これはむしろ物分かりがいいのだが!)、それを担保にして、お前らなんかいつでも牢獄にぶちこめんだぞと言わんばかりの強情さで振舞ってくるのです。かといって、それは打倒保安官という物語を提示するのみであり、あくまでも忠実にそれを追うことで保安官は右往左往してくれます。まずもって、トラックの運転手たちが保安官たちに追われるは酒場でのいさかいにすぎませんが、その場に居合わせた運転手&トラックの数とは比べものにならない台数のトラックが追随してきます。往々にして逃げる男たちはメディアに祭り上げられ擬似的なヒーローになりえたりしますが、どちらかというと追随してくるトラックたちは走ること(スピードをだすこと)に精を出しているようにみえます。安易にいってしまえば、男根のメタファーでしょうか、燃料物質を積んでいますし、トラックを無理やり止めることは=爆発を意味しますし...。

さて、曲がりなりにも(?)今作はカーチェイス的側面があります。とはいえ、普通乗用車ではなく、バカでかいタンクローリー、コンテナやら、図体がデカいトラックが大行列、ときには顔を一列に揃えることもあるので、動きが機敏ではありませんが、ダイナミックです。ただでさえ前方が見えにくいのに、車間距離が短くて、急な右折に対応できず、スリップするところは頭を抱える他ありません。ですが、カーチェイスはさほど高ぶりを催すほどアクティブに画面の中で躍動しておらず、むしろ関心を奪われるのは男たちが走っている理由です。無心でもなく、あからさまな抵抗でもなく、走っているのを止められる筋合いがないから止まらないだけにみえるのです。

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トランザム7000』(1977年)ハル・ニーダム監督

 カーチェイスが、その破壊する車の数や、燃えたぎる車の数、などなどの激しさを競う前である70年代にあって競われる、あるいはアイディアが試されるのは車と車のマスゲームであると確信せしめるコミカルなシーンをみせてくれた。もちろん構図は、追う車(保安官)追われる車(主人公)。さらに追われる車の前方、並走に仲間であるトラック集団がいて、その前後のトラック車間に追われる車が隠れ、反対車線でトラックらを追い抜こうとする追う車を、トラックらが反対車線(ここで《追われる車》が前後と隣、計3台に囲まれる)に入り込み、追う車》を追い抜き車線の外(道路外)に出すことで3台のトラックで《追われる車》を囲い込み、すっぽり隠してしまうのです。

ただ、カーチェイスにあるには拮抗する車と車のせめぎ合いだけではなく、誰を乗せるか、何を乗せてるか、というのも重要です。まず誰を、ですが、式場から逃げてきた花嫁なのです。 そして乗せているのは輸送してはいけない酒(腐りやすい酒のため長距離輸送禁止)。追われる理由しかありません。『コンボイ』でもそうでしたが、無線機が大活躍です。ドライバー同士の会話が、そのまま説明になりますし、物語になるのです。それを一切無視したのが『マッドマックス 怒りのデスロード』だったのかもしれません。お互いが素性を知らぬまま、入った酒場での会話、最後の無線機での会話はコミカルと(微妙な)スリリングが同居した良いシーンでした。